Babson College日本人教授へのインタビュー

2010年4月に、Babson Collegeで教鞭をとられている松野教授と山川教授にインタビューをさせていただきました。アメリカのビジネススクールにおける日本人教授のキャリアや生活、バブソン大学について、そして、日本人学生へのメッセージなどをお話していただきました。
両教授、ご協力ありがとうございました!


松野先生インタビュー

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バックグラウンド

青山学院大で経済学を専攻していたんですが、正直そんなに面白かったわけではなかったんですね(笑)。就職を考える時期になって、大学卒業後に父親が経営していた会社にすぐに入るよりは、もっと実学を学びたいと思い、マーケティングを勉強しようと考えたんです。そこで、青学卒業後、オレゴン大学に学士入学し、マーケティングを専攻することにしました。
最初の3ヶ月はこなければよかったと思うほど大変で、6ヶ月ほどしてようやく大学にも生活にも慣れてきました。だから、英語圏での生活経験のない日本人がこっちにきた時にどれだけ大変かは、僕はよくわかりますよ。オレゴン大学を卒業後は、日本に戻り、伊藤忠商事の系列会社に就職ました。そこで5年間、ファッションビジネスに関するコンサルティングに従事したんですが、大変面白くて勉強にもなりましたね。
結婚後、ロータリー財団の奨学金をいただいたことをきっかけに再渡米を決意し、バージニア大学ダーデンビジネススクールでMBAをとりました。卒業後、製薬大手のイーライリリィに就職し、1年ほどマーケット・リサーチ、セールス、新製品マーケティングに携わってたんですが、周りにはMBAがたくさんいるわけなんですよ。だから、僕一人くらいいなくなっても問題ないやと・・・(苦笑)。むしろ、知的刺激に溢れていて自由な教授の仕事が自分に向いていると思い、テネシー大学経営学マーケティング専攻でPhDを取得し、バブソン大学で働くことになりました。いまはバブソン大学のMBAで、グローバルマーケティングなどマーケティング分野を専門に教えています。

バブソン大学について

バブソン大学を選んだのは、リサーチだけでなくティーチングにも重きを置いていて、他の大学よりも自分に合っていると思ったからです。僕がMBAを取得したダーデンもケースメソッドが中心だったので、その点も魅力でした。バブソンは商売っ気の多い学生が多いところが好きですね。大企業のサラリーマンとして出世コースを上がっていくだけがキャリアだと思っていない所がいい(笑)。バブソンのカリキュラムによるところもあると思いますが、学生は本当によく勉強していますね。千本ノックの世界に近くって、体で経営学を覚えていくようなところがある。バブソン大学の強みとしては、やはり“Entrepreneurship”というニッチに強いこと。この規模の大学としては、アントレの教授は圧倒的に多いですよ。それと、実践的なマネジメントを教えているというところでしょうか。ほとんどの教授が学問経験だけでなく実務経験も持っていることも強みでしょうね。
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教授としての生活
そもそも教授を目指したのは、自分自身のインパクトが感じられる仕事をしたいと考えたからです。自分の興味のある分野を研究できるだけでなく、コンサルなどを並行して実企業との関わり合いを持ち続けることもできる。大学ってところは上司/部下みたいな関係はないので、気楽なところはあるかもしれないですね。但し、授業の準備には相当の時間をかけています。教授同士もお互いに競争しているところもあるので、何を(What)教えているかは共有していても、どうやって(How)教えるかは、トップシークレット(笑)。仲良くなれば、教授同士飲みにいったり、家族ぐるみの付き合いをすることはありますよ。

日本人学生について

日本人学生の頭脳は、他国の学生にひけをとらないですよ。みんな、賢い。でも、一方で声が出ていない(クラス・パーティペーションが弱い)という評価は聞くことがあります。しかし、日本人にとっては言葉のハンディがあるからこそ、より苦労してより多くを学び、MBAを終えた時により大きな自信と成長につながっていくのだと思います。バブソンの日本人卒業生に成功している人が多いのはそれもあるのでしょうね。これからバブソンに入ってこられる日本人の皆さんには、日本でのバックグラウンドにこだわらず、新しいことにどんどんチャレンジしていって欲しいと思います。強みを伸ばすのはもちろんですけど、未知の分野で自分を試すオープンマインドが大切だと思っています。



山川先生インタビュー
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バックグラウンド

幼い頃は、父親の仕事の関係でブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、カナダなど・・国々を転々とする生活を送っていました。中学、高校はスポーツが主で、慶應大学に入学してからは、ずっとアイスホッケーに夢中でした。就職の際も、国体に出たいという目標が強く、漠然と、「社会貢献」という信念と、「巨大なプレイング・フィールド(広範囲な可能性)」という点から電力関連を選びました。
就職後、予定通り国体選抜に選ばれ、キャプテンにもなることができました。しかし、開催県での国体間際になって、本店からお呼びがかかり、悩んだ挙句、本店に向かいました。残念でしたが、当時あのタイミングで呼び戻されることは稀だったので、評価されていたんだと思います。本店では、営業部の計画部署に配属され、規制緩和のもと、全店代の組織変更に携わることになり、本当に忙しい日々を過ごしました。その後、企画部にて新規事業に携わり、事業開発部として組織がどんどん大きくなるのを目の当たりにするとともに、自分自身もコンシューマー向けの新規事業の立ち上げに加わり、企業内起業の醍醐味を味わいました。過酷ながらも優秀な人材に囲まれ、充実した毎日でした。
MBAを目指したのは、外に出る必要性があると感じたからです。大企業における新規事業開発を推進するうえで、経営戦略を体系的に学びたい。とともに、社内風土にどっぶりとつかっている自分を外部環境にさらして、競争力を高めたいと考えるようになりました。留学先は悩みましたが、結局少数精鋭のポリシーのあるドラッカースクール(クレアモント大学院)を選びました。この選択は今でも正しかったと思っています。というのも、ここでの教授との交流こそが今の自分のキャリアの原点のような気がするからです。友人のように強いつながりを持つことが出来たのは、なによりも宝です。

教授を目指した理由

MBAにて、とある教授から「おまえは将来、社会からどう認識されたいんだ?」「おまえにとって成功とはなんだ?」と聞かれ、何と答えたらいいか詰まってしまったんです。その教授から「何人の人生に触れることができたかが、人生では一番大切なんだ」と説かれ、衝撃を受けたのを覚えています。その時に、教授という仕事こそ、世界各国、人種を問わず、色々な人生に触れ、その人たちを支えることにつながる素晴らしい仕事ができると思ったんです。これが、教授を目指すきっかけですね。MBA卒業後、日本に帰国しましたが、結局、夢を叶えたいと意を決して再度アメリカに渡ることにしました。PhDは、死ぬほど勉強したMBA100倍ほど大変でしたね。経営を科学として捉え、哲学系から数学系まで徹底的に勉強した後に、マネジメントのセオリーを学んでいきました。
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バブソン大学にて

Entrepreneurshipが自分の専門であったので、アントレNo1のバブソン大学が元々頭にありました。バブソン大学は、リサーチ(研究)だけでなく、ティーチング(授業)についても高い質を求められるので、大変ですが、非常にやりがいを感じてます。
今は、学部の1年生向けにFoundation of Management & Entrepreneurship (FME) という1年間続く必修コースと、3,4年生向けのEntrepreneurship & Opportunityという専門コースを教えています。FMEは、3人一組のチームを20チーム作り、全チームにビジネスアイデアをプレゼンさせる。そこから、毎週課題やツールを与え、徐々にチームを選抜していき、最終的に残った2チームのアイデアを実際にビジネスとしてスタート、マネージさせるというプログラムです。秋学期に事業と会社組織を決定、春学期にリアルな資金を運用しながら、事業を運営。学期末に店をたたみ、収益を寄付するというモデルです。ビジネスを実際に行いながら、オペレーション、アカウンティング、マーケティングなどの経営スキルを実務的に学ばせていくので、非常に良く練られたプログラムだと思っています。Entrepreneurship & Opportunityは、ケースを用いた事業形式で、ビジネスのフィージビリティに関する目利き力を高めるコースですね。さまざまなケースを用いて、ツールを学び、3つのプロジェクトを通じてフィージビリティ・スタディをまとめる、つまり事業のGo, No-Goを判断する、というアセスメントに特化した授業です。

バブソン大学の学生について

大学に入ってくる時点で、既に起業経験のある、レベルの高い学生が多いです。また、世界各国から色々な学生がくるので、国際色も非常に豊かです。彼らは1年生の夏からインターンを行うので、卒業までに多くて4回。大学のカリキュラムだけでなく、様々な業種の実務についても触れていくので、ビジネスに関しては、かなり濃い内容を習得し、経験を積みながら大きく成長していく・・それがバブソンの学生の特徴でしょうか。
学部には今、日本人学生も数人います。皆とてもよく頑張っていますよ!将来バブソン大学の学部に入学を希望される方には、
“Be Ambitious!” とお伝えしたいです。やる気があれば、必ずなんとかなる。チャレンジするからこそ面白みがある。是非挑戦して欲しいですね。